HIROYUKI
KOSAKA

最も長い時間を過ごす場所である住まいは、最も心地良い場所であってほしい。 そして住まう人、使う人の思いを大切にしながら、日々の小さな感動を気づかせてくれるような家を一緒に考えていきませんか。

小坂 裕幸

【海】
~生まれ育った場所~

オホーツク海と太平洋を毎日見て育った。
今は森を眺めながら生活しているけれど、やっぱり海も好き。

【霧】
~根室~

霧に包まれた根室の景色は神秘的で美しい。


自分の原風景。

【山】
~小別沢の景色~

自宅から事務所へとは小別沢のトンネルを抜けて車で通う。
通り道には畑が広がり、その先には手稲山が見える。
四季の変化を身近に感じ、日々のアイデアのもととなる。

【森】
~円山公園~

自然と都市がバランスよくつながっていると思える場所。
大きな木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日がとても心地よい。
こんな場所をつくれたらいいなと考えながら歩く通勤路。

「サンカクノイエ」

設計事務所を設立し、最初に手掛けた私の自邸兼事務所である「サンカクノイエ」。
川が流れる自然豊かな雑木林と交通量の多い道路に挟まれた2面性を持つ敷地である。
仕事の打合せ場としても使用している玄関ホールは道路に対して多く開いている。
螺旋階段を登ると路地のような廊下が現われる。
北側天窓からの安定光、玄関ホールからの間接光、そして廊下先の窓からの拡散光といった様々な光が交わる真っ白なその場所は意識を一瞬無にさせる。
光に誘われ進んだ先には四季折々多様な表情を見せる景色を切り取ったピクチャーウィンドウ。
街と自然。二つの異なる景色を写し出す窓を光に操られた空間が緩やかに繋いでいる。

「福井の家」

札幌市西区の古い住宅街、公園に隣接した角地に福井の家は建っている。 昔ながらの三角屋根とモルタル壁を持つその家は、街に対して主張することなく控え目に、古い町並みにさりげなく溶け込むよう、二面接する道路からはいずれも距離を取った位置に佇んでいる。
内部は、4つのゾーンから成り、「玄関と階段室」「居間/台所と多目的室」
「水廻りと収納」「寝室と子供室」が層になっている。
各ゾーンはそれぞれ小さな吹抜けを持ち、それにより上下階はゆるやかに繋がっている。
互いに適度な距離を保ちながら、家族それぞれの居場所をつくり出している。

「cafe E.den」

藻岩山麓通り沿いの住宅街に建つ築40年ほどの木造2階建ての事務所をカフェにリノベーション。店のコンセプトは「緑に囲まれたカフェ」。
既存の建物は周囲をアスファルトが覆いつくし、周辺地域に対して閉じた印象を与える凄然とした佇まいであった。
アプローチに沿って新たに植えた木々は、店を訪れる人の気持ちを和ませると同時に、朗らかな地域景観を形成する役目を担っている。
内部は古い躯体の一部をそのまま現しにしながら、新たに白い壁と天井を組成し直すことで
古い物と新しい物がそれぞれの良さを引き立て合い、この場所にしかないカフェとなったのではないかと思っている。

「norinorinoie」

札幌市郊外の閑静な住宅街にある敷地は奥側が河川緑地に隣接する自然豊かな場所に位置している。
施主は市内中心部にほど近い利便性のよいマンションで暮らしていたが、次第に北海道の四季折々の自然に触れながらの生活に憧れを抱き一戸建ての新築へと踏み切った。
敷地は前面道路から1.2mほど高くなっており、その半分を法面(ノリメン)が占めている。
現状に沿って地盤の低い道路側は2階建て、地盤の高い河川緑地側は平屋とし、それらを大きな片流れ屋根がゆるやかに繋ぐ、切土や盛土といった造成工事を必要としないプランに行き着いた。
内部は天井の低い玄関の先にある階段ホールに薪ストーブが置かれ、それを囲むように家族や客人は集う。
地盤の高さの分岐点ともなっている階段を半階上った先のリビングからは河川緑地の木々を望むことができる。
さらにもう階段を登ると子供室があり、そこはリビングと一体空間でありながら視線は遮られ、子供たちには格好の秘密基地となっている。
家族は薪割りや庭いじりなど新たなことを次々とはじめ、ここでの暮らしを全力で楽しんでいる。

「潮見台の家」

小樽市潮見台に立つ小さな家は国道5号線から急な坂を少し登ったところにある。
敷地の 1/3を崖が占めるうえに、間口も狭いが、眼科にはフェリーが行き交う石狩湾、小樽の街並み。そして対岸には増毛連山の絶景が広がる。
外観は塩害に考慮するとともに古い町並みに自然と溶け込むよう、唐松の下見板貼のシンプルな箱型とした。
内部は南北に細長い建物の中央に玄関や階段を配した。
そこを挟んで南側(道路側)には、下階から順に多目的室、子ども室、ロフトを3層にレイアウトし、眺望のよい北側には1階に寝室と水廻り、2階にLDKという2層の構成とした。これによりLDKは十分な天井高を確保でき、面積以上の広がりを感じることができる。
跳ね出した2階の階段ホール一面の白い壁は南北両面の窓からの光を受け、刻一刻と表情を変える。
階段ホールの光に誘われLDKに足を踏み入れると、北面に設けた大きな窓越しに、太陽の光を浴びて輝く絶景が広がる。
出窓のみに開口部を集約することでLDKは間接光につつまれた穏やかな場所となっている。
出窓に寝そべり外を眺めると海の上に広がる雲と目線が揃い、まるで雲の上に載っているかのような不思議な感覚を味わうことができる。
心地よい居場所があちらこちらに散りばめられたこの家での暮らしが、ご家族にとって豊かなものであることを願っている。

History

北海道根室市生まれ。
UI/UX Designer

漁師を営む両親のもとで育ち、大自然の中を駆け巡る幼少時代を過ごす。
小学生の頃、実家の新築工事馬路か間近で見ているうちに大工の仕事に憧れを抱いたことから、建築に興味を持ち始める。
高校卒業後、札幌の専門学校へ進学。
卒業後は、チカラ総合設計株式会社に9年間勤務し、公共施設や個人住宅などの設計を経験。

北海道中央工学院専門学校
建築工学科卒業

様々な仕事を経験していく中で、個人住宅の設計を生業にしたいと考え、2004年に株式会社北デザイン建築工房へ転職し、6年間で70棟あまりの注文住宅の設計を担当。

小坂裕幸建築設計事務所
設立

2010年、小坂裕幸建築設計事務所を設立し、独立後最初に手掛けた「サンカクノイエ」で「きらりと光る北の建築」賞を受賞。その後、2012年に「福井の家」で再び受賞する。
現在は札幌圏を中心に個人住宅、店舗等の設計・監理を行う。

受賞等

「きらりと光る北の建築」賞
受賞

独立後最初に手掛けた「サンカクノイエ」で「きらりと光る北の建築」賞を受賞。

「きらりと光る北の建築」賞
受賞

「福井の家」で再び受賞する。